Japanese
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特集 悲嘆の精神療法
悲嘆の疫学と社会的インパクト
佐々木 千幸
1
,
藤澤 大介
2
1国立研究開発法人国立がん研究センター
2国立研究開発法人国立がん研究センター
pp.300-304
発行日 2026年6月5日
Published Date 2026/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt52030300
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Ⅰ 悲嘆と遷延性悲嘆症
大切な人を失う経験とは,人生で最も大きな苦悩の一つである。多くの人は,時間の経過とともにその悲しみを乗り越え,苦悩は軽減していく。しかし,一部の人では,悲嘆が一般に考えられるより強く長く続くことがある。
こうした,遷延する悲嘆の取り扱いにはさまざまな変遷があった。たとえば,正常な反応の個人差や文化差として説明する考えや,うつ病や外傷性ストレス障害の一型とする考えがある。Prigerson HGらは,うつ病とは区別される症状に着目して,複雑性悲嘆(Complicated Grief : CG)を提唱した(Prigerson et al, 1995)。Horowitzは,悲嘆の侵入的想起や回避症状に着目して複雑性悲嘆障害(Complicated Grief Disorder : CGD)を提唱した(Horowitz et al, 1997)。その後,DSM-5における研究のための病態として紹介された持続性複雑性死別障害(Persistent Complex Bereavement Disorder : PCBD)(American Psychiatric Association, DSM-5 Task Force, 2013)等を経て,ICD-11(World Health Organization, 2025)やDSM-5-TR(American Psychiatric Association, 2022)では,正式な診断カテゴリーとして遷延性悲嘆症(Prolonged Grief Disorder : PGD)が設定された。

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