投稿論文 症例研究
死別後悲嘆に対する短縮版ミーニング・センタード・サイコセラピーの試み
幸田 るみ子
1
,
藤澤 大介
1立正大学 心理学部
キーワード:
恐怖症
,
自己概念
,
死別
,
食事
,
睡眠
,
精神療法
,
同一化(心理学)
,
悲嘆
,
心理学的面接
,
抑うつ
,
ひとり暮らし
,
人生
Keyword:
Depression
,
Grief
,
Diet
,
Bereavement
,
Self Concept
,
Phobic Disorders
,
Psychotherapy
,
Identification, Psychological
,
Interview, Psychological
,
Sleep
pp.395-405
発行日 2023年6月5日
Published Date 2023/6/5
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大切な家族を亡くした後,死別後悲嘆が癒されず複雑性悲嘆に陥る一群が存在する。本研究は,がんで家族を失った遺族の死別後悲嘆を標的とした短縮版MCPを実施し,その効果を予備的に検討した事例研究である。人生の意味に焦点を当てたMCPの施行が死別悲嘆の緩和につながるか,死別後悲嘆は,各国の文化や死生観等が大きく影響するため,日本人にとってMCPがどのように受け止められるか検討した。さらにクライエントの生きる意味について検討した。カウンセリングを受けることに慣れていない高齢者に対する心理療法では,感情表現を促し支持し傾聴すること,謙虚に否定する言葉の背景に重要な意味が含まれている可能性があり,その意味を共有することの重要性が改めて示された。また,MCPの構造化された関わりを通して,Cl.の人生の意味の再認識・再構築や人生の意味の連続性への気づきが生まれ,Cl.の闘病体験や故人に対する気持ちの捉え方の修正につながり,故人との新たな関係性を創り出す過程を促進させ,悲嘆の軽減に作用すると推測された。また,日本人にとって,悲嘆の軽減には,故人との新たな関係性の再構築を行っていくことに意味があると考えられた。
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