インフォメーション 新しいナーシングケアのために
悲嘆過程
稲永 和豊
1
1久留米大学精神神経科学
pp.503
発行日 1985年5月1日
Published Date 1985/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921073
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悲嘆過程は家族,愛する人との死別の直後,もしくは遅れて現われるものである.悲嘆過程について医師や看護婦が正しい認識を持つことは,この過程にある人々を援助する上に役立つものである.
悲嘆過程として知られている喪失体験への感情的反応は,比較的予想できる過程をたどるのが普通である.悲嘆過程というのは同復機能,心理的適応機能とを持ったものであり,この過程を通して家族や愛する人々の強い情緒的きずなから徐々に解き放たれてゆくのである.絶望,悲しみ,怒り,不服,よるべなさなどの感情は喪に服する期間に起こる喪失体験への正常な反応である.その後,遺族はこれらの苦しみの感情を処理してゆく.そして,心理的にも社会的にも故人のいない生活に適応し始める.
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