特集 アディクション支援のフロントライン
救命救急センターにおける医薬品過剰摂取に対する介入
臼杵 理人
1
1国立病院機構災害医療センター 救命救急科
pp.221-225
発行日 2025年6月5日
Published Date 2025/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51070221
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Ⅰ はじめに
救命救急センターに搬送された医薬品過剰摂取者において,摂取された医薬品がもたらす向精神作用や身体症状への対応が求められるのは自明である。一方で,患者が「なぜ医薬品を過剰摂取するに至らざるを得なかったのか」という背景を検討することは,多忙な臨床現場において後回しにされやすい。
しかし近年,若年層における医薬品過剰摂取の増加が社会問題として認識され,自殺総合対策大綱においても,救命救急センターが単なる急性期医療の場ではなく,精神的危機にある患者への支援の窓口としての役割を担うべきであると明記されたことに伴い,救命救急センターにおいても患者の動機や背景を適切に評価し,必要に応じて各支援機関と連携を図ることが求められつつある。
このような情勢の中,本稿では医薬品過剰摂取の傾向の変化に触れつつ,現在の救命救急センターに求められる適切な介入の在り方について概観したい。

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