特集 アディクション支援のフロントライン
医薬品乱用当事者に対する新しい自助グループの試み「OD倶楽部」
倉田 めば
1
1大阪ダルク
pp.226-230
発行日 2025年6月5日
Published Date 2025/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51070226
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Ⅰ はじめに
「OD倶楽部」という,市販薬や処方薬のオーバードーズ問題を抱えた人たちのためのグループを大阪ダルクのスペシャルプログラムとして始めて2年余りが経とうとしている。巷では,若者の市販薬ODの問題がクローズアップされ,報道などでも社会現象として取り沙汰されるさまを横目でみながら,薬物問題というのは,流行りの薬物の種類に関わらず,いつの時代においても相変わらず,「低年齢化」や「若者の間では」という常套句と共にアナウンスされてきたことを思い出している。
大阪ダルクを開設する少し前,1992年ごろに,イタリアのミラノ近郊にある薬物依存の回復施設を訪れた時,施設の代表は「薬物に走る若者を作ったのは,その社会や地域である。彼らが薬物から自由になり,社会に戻ってくることをサポートするのは,社会の,大人たちの責任である」と語っていた。
何か私にできることはないだろうか?というのが「OD倶楽部」をやろうと思った時に頭の中をよぎったことだった。

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