連載 再考します 臨床の素朴な疑問・第5回
「過剰努力」の「過剰」とはどの程度?
潮見 泰藏
1
Taizo SHIOMI
1
1帝京科学大学医療科学部東京理学療法学科
pp.576-577
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202313
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「過剰」とは?
ある運動が「適度」であるか否かは個人によって異なるのと同様,運動が「過剰」であるか否かの判断もまた,その程度は異なり,一律に決まるものではない.そして「過剰努力」という場合,ある課題に対する個人の努力量の程度が問題となるが,別の言葉で言い換えるならば,「最大努力」ということになるかもしれない.
いずれにせよ,この用語はあくまで観察者の主観によるもので,その判断は容易ではなく,明確な基準や定義も存在しない.これはいわゆる「暗黙知(経験知)」,すなわち私たちが経験的に使っているものの,容易に説明のできない知識と言える.これを客観的に判定しようとすれば,事後的に生理的指標(血圧,心拍数)や主観的運動強度(ratings of perceived exertion:RPE),修正Borg scaleなどをもとに行うことになる.
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