特集 虚血性心疾患
治療 様々な病態を示す冠動脈疾患に対する治療update
虚血性心疾患の治療 ─薬物治療かPCIかCABGか?─
亀田 良
1
,
阿古 潤哉
1
1北里大学医学部循環器内科学
キーワード:
▶CCSの介入治療は,薬物治療,生活習慣改善,そして冠血行再建(PCI,CABG)があげられる.
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▶2020年に発表となったISCHEMIA試験の結果から,OMTを行うことで,すぐに血行再建を行わなくても,早期に侵襲的治療を行う場合と比べて予後に大きな差はない可能性があることが示唆された.
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▶血行再建が適用される場合は最適な血行再建法に関する議論を通じて,患者とSDMに基づく血行再建を行っていくことが望ましい.
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▶CABGやPCIの治療方法選択に関しては,血行再建の適応を含めて,ハートチームカンファレンスを行い,十分に検討することが望ましい
Keyword:
▶CCSの介入治療は,薬物治療,生活習慣改善,そして冠血行再建(PCI,CABG)があげられる.
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▶2020年に発表となったISCHEMIA試験の結果から,OMTを行うことで,すぐに血行再建を行わなくても,早期に侵襲的治療を行う場合と比べて予後に大きな差はない可能性があることが示唆された.
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▶血行再建が適用される場合は最適な血行再建法に関する議論を通じて,患者とSDMに基づく血行再建を行っていくことが望ましい.
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▶CABGやPCIの治療方法選択に関しては,血行再建の適応を含めて,ハートチームカンファレンスを行い,十分に検討することが望ましい
pp.1560-1564
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.10_020
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至適薬物療法が,慢性冠症候群の治療の中心へ
虚血性心疾患は,急性冠症候群acute coronary syndrome(ACS)と慢性冠症候群chronic coronary syndrome(CCS)に分けられ,ACSに関しては,早期にprimary PCI(経皮的冠動脈インターベンション)を行うことが予後改善につながることは明らかである.一方,CCSに関しては,介入治療は,薬物治療,生活習慣改善,そして冠血行再建[PCI,冠動脈バイパス術coronary artery bypass grating(CABG)]があげられる.血行再建に関しては,心筋虚血評価を行い,適応を判断することが重要となる.先行研究として有名であるFAME 2試験などは,心筋虚血が証明された病変に対しては,薬物療法のみでは,1年に5~10%程度の頻度で死亡・心筋梗塞が発生するが,PCIを行うことで,その頻度を2~3%程度まで抑制することが証明されている.

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