特集 循環器疾患1
5.安定虚血性心疾患の治療:血行再建—PCIやCABGは常に最初から必要か?
池村 修寛
1
,
香坂 俊
2
Nobuhiro IKEMURA
1
,
Shun KOSAKA
2
1独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 循環器内科
2慶應義塾大学病院 循環器内科
pp.641-651
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900221
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安定虚血性心疾患(SIHD)に対して,常に最初から血行再建が必要とされない時代に入って久しい。以前は,狭窄部位の解除こそSIHD治療の核とされていたが,2006年の第55回ACC*1で発表されたCOURAGE*2試験の結果を皮切りとして,その流れは大きく変わってきている。欧米ではそこから数年を経て各種ガイドラインの改定がなされ,現在のSIHD診療は「すぐ入院しましょう」というスタイルから「外来で経過を診ていきましょう」という方向へ,大きく舵を切っている。
翻って日本では,代表的な血行再建法である経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)に関して,それほど厳密な適応の議論がなされているとはいえず,こうしたSIHDの診療スタイルの変化が幅広く認知されるには至っていない。
本稿では,この大きな転換点を迎えているSIHDのマネジメントについて,彼我のエビデンスをふまえ,その実践的な治療戦略について論じていきたい。
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