Japanese
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Current Opinion
CABGかPCIか内科治療か―外科の立場から
Modern CABG in Drug-eluting Stent Era
天野 篤
1
,
梶本 完
2
,
鶴田 亮
3
Atsushi Amano
1
,
Kan Kajimoto
2
,
Ryo Tsuruta
3
1順天堂大学医学部順天堂医院心臓血管外科
2順天堂大学医学部附属浦安病院心臓血管外科
3戸田中央総合病院心臓血管外科
1Department of Cardiovascular Surgery, Juntendo University School of Medicine
2Department of Cardiovascular Surgery, Juntendo University Urayasu Hospital
3Department of Cardiovascular Surgery, Toda Chuo General Hospital
pp.387-392
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102455
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冠動脈治療をめぐる最新の知見
最も一般的な治療手段である経皮的冠動脈インターベンション(PCI)も,薬剤溶出性ステント(DES)の登場により,再狭窄という最大の欠点が解決されたかのように思われたが,DESの中長期成績が明らかになるにつれて適応範囲が限定されつつある.また冠動脈バイパス術(CABG)もPCIに対抗する手段として低侵襲化に向けた心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)が普及した.
重症冠動脈病変を有する1,800例の患者を半数ずつCABGとDES-PCIに割りつけたSYNTAX試験では年次の追跡結果が発表されるたびにCABGの優位性が明らかになった1~3).SYNTAX試験は冠動脈の重症度を独自のSYNTAX scoreを用いて慎重に割り付けたことでその公平性が信頼の基軸となった.2013年に公表された中長期成績と言える5年間の追跡結果ではCABGとDES-PCIとに全死亡率に有意差は生じなかったが,心筋梗塞,再血行再建や主要心血管脳複合有害事象(MACCE)はCABGで有意に少ないことが示された.さらにSYNTAX score(low/intermediate/high)での層別解析では,SYNTAX scoreの高いより重症な冠動脈病変でCABGの優位性が示され,従来からのCABGとPCIの適応ラインが大きく変わらないことが立証された.これは左冠動脈主幹部(LMT)病変や重症多枝病変などのサブセットにおいても同様の結果であり,こうした複雑病変に対する治療は依然としてCABGが主流であると結論づけられている.
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