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診断基準によるがん患者の悪液質の有病率と全生存期間の違い
髙岡 友哉
1,2
,
八重樫 昭徳
3,4
,
渡邉 大輝
5,6
Tomoya Takaoka
1,2
,
Akinori Yaegashi
3,4
,
Daiki Watanabe
5,6
1信州大学医学部附属病院 臨床栄養部
2信州大学大学院 総合医理工学研究科 医学系専攻 医学分野
3高崎健康福祉大学健康福祉学部 健康栄養学科
4北海道大学大学院 医学研究院 社会医学分野 公衆衛生学教室
5早稲田大学 スポーツ科学学術院
6国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
pp.913-915
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn146070913
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はじめに
がん患者の数およびがんに起因する死亡者数は世界中で増え続けており,その予防・治療法の確立が公衆衛生上の課題となっている.
がん悪液質は,European Palliative Care Research Collaborative(EPCRC)により「通常の栄養サポートでは完全には改善せず,進行性の機能障害に至る,骨格筋量の持続的な減少を特徴とする多因子性の症候群」と定義されている1).がん患者のうち悪液質を有する者は悪液質でない者と比較して全生存期間が短いことが報告されており2, 3),その予防および治療はがんの治療成績全体の向上に重要である.しかし,悪液質の診断基準は複数存在しており(EPCRC[Fearon 2011]1),Evans 20084),Fearon 20065)など),診断基準の違いによる有病率や全生存期間への影響はあまりわかっていない.
そこで,われわれの研究チーム(「栄養学おやじの会」)はシステマティックレビュー・メタ解析の手法を用いてがん患者における悪液質の診断基準の違いとその有病率および全生存期間との関連を網羅的に調査した.
本稿では,われわれがAdvances in Nutrition誌で発表した内容6)をもとに,悪液質の診断基準と有病率,全生存期間の関連を解説する.

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