連載 栄養指導・栄養管理に活かしたい 食物繊維学の新常識⑩
食物繊維の豊富な食材の活用,効果的な摂取法
青江 誠一郎
1
Seiichiro Aoe
1
1大妻女子大学家政学部
キーワード:
発酵性食物繊維
,
穀類
,
β-グルカン
,
アラビノキシラン
Keyword:
発酵性食物繊維
,
穀類
,
β-グルカン
,
アラビノキシラン
pp.661-666
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn145050661
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はじめに
日本人の食物繊維の男女の1日当たりの平均摂取量は,1955年の調査結果では22.5 gだったが,2018年では14.4 gまで減少した1,2).この原因として,穀類からの食物繊維の摂取の低下が考えられ,2018年では1955年の穀類からの食物繊維摂取量の約1/3まで減少した(図1)1,2).これは,食生活の欧米化ならびに低炭水化物食の流行などにより,主食である穀類が食べられなくなったことが一因である.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では,18~64歳の食物繊維の目標量が男性21 g/日,女性18 g/日以上であり,目標量と摂取量の差が大きい.表1に示したように,単一の食品別にみると,食物繊維摂取の寄与率が高い食品は米であり,次いでパン類と続く(その他の野菜類は合算値)3).したがって,日本の食生活では食物繊維の給源は依然として穀類が重要であると言える.かつてのレベルまで食物繊維の摂取量を戻すためには,穀類の摂取量を増やすことが一つの方法である.さらに,「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症」では,慢性便秘における食事療法として発酵性食物繊維が便秘の改善に有効であることが記載された4).すなわち,食物繊維の効果的な摂取は,量だけでなく質も考慮する必要がある.
本稿では,食物繊維の豊富な食材を紹介するとともに,食物繊維の質に着目した発酵性食物繊維の効果的な摂取方法について解説する.
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