連載 栄養指導・栄養管理に活かしたい 食物繊維学の新常識①
食物繊維の分析法と定義
-分析法の違いにより測定される成分の違い
渕上 賢一
1
,
福増 潤二
1
Kenichi Fuchigami
1
,
Junji Fukumashi
1
1一般社団法人 日本食品分析センター 基礎栄養部
キーワード:
プロスキー法(酵素-重量法)
,
プロスキー変法
,
酵素-HPLC法
,
AOAC2011.25法
,
難消化性でん粉
,
低分子量水溶性食物繊維
Keyword:
プロスキー法(酵素-重量法)
,
プロスキー変法
,
酵素-HPLC法
,
AOAC2011.25法
,
難消化性でん粉
,
低分子量水溶性食物繊維
pp.106-115
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn144010106
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はじめに
食物繊維の定義は曖昧であり,わかり難さがある.その理由は,食物繊維が多様な成分から構成されることにあるだろう.それら多様な成分の分析法が進化した結果,複数の方法がつくられた.これらの方法は,国内において,食品の成分表もしくは食品表示のために使われているが,分析法が統一されておらず,分析値の比較などがし難い状況がある.筆者らのように,栄養成分の分析を生業とする立場でもわかり難さを感じるが,可能な限り平易な解説とし,読者各位の容易な理解になるように努めた.
本稿では,食物繊維の定義と分析法の組み合わせからはじめ,次に分析法そのものの操作概要を解説する.ここまで一読いただくと,各分析法の共通点と違いについて理解いただけると思う.その理解を実データで確認いただけるように,一部ではあるが日本食品標準成分表(以下,成分表)のデータを活用し,成分表八訂から採用されたAOAC2011.25法と,旧来からのプロスキー変法の結果を対比した.この対比により,成分表七訂までの食物繊維含量が成分表八訂になったときの変化を確認できると思う.定義を含めた食物繊維という物質とそれらの分析法,分析法の変化にともなう分析値の変化を総合して確認し,理解を深めていただけると幸甚である.なお,分析法等に関するさらに詳細な情報については多くの成書が出版されており,そちらを参照されたい.
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