連載 カンファランスで学ぶ NST難症例ケーススタディ⑤〈隔月連載〉
Ⅱ度熱傷で入院となり創傷治癒遅滞を呈した銅・亜鉛欠乏患者に補充方法を工夫した症例
横須賀市立うわまち病院微量元素チーム(TEST)
キーワード:
微量元素
,
銅欠乏症
,
亜鉛欠乏症
Keyword:
微量元素
,
銅欠乏症
,
亜鉛欠乏症
pp.656-660
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn145050656
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ケースサマリー
患者はⅡ度熱傷で入院となった40代女性.創傷治癒遅滞のため介入を開始した.第7病日,血清亜鉛値24μg/dL,血清銅値 30μg/dLであり,亜鉛および銅欠乏に対しノベルジンⓇ50 mg/日,純ココア大さじ3杯(銅 約0.7 mg)/日が開始された.食欲不振や嗜好により十分量のココア摂取ができず,ノベルジンⓇ内服も影響し,退院直前には血清銅値15μg/dLまで低下した.創傷治癒と合わせて,血清銅濃度低下にともなう血球減少,不可逆的な神経障害をはじめとした合併症1)のリスクが高いと考え,微量元素チーム(TEST)は自宅退院に向けて,ネイチャーメイド®︎マルチミネラル(サプリメント)の1日1粒(亜鉛6 mg,銅0.6 mg含有)摂取を提案し,微量元素欠乏の病態や商品の購入および摂取方法を患者に説明した.退院後は,サプリメントを1日1粒摂取し,ノベルジン®︎を中止した.電話で食事やサプリメントの摂取状況を確認し,外来受診に合わせて採血を行い,継続でフォローした.第85病日,血清銅値は91μg/dLまで上昇し,創傷は治癒したため,サプリメントの内服を中止した.
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