スポット
たんぱく質の摂取パターンと骨格筋量
金 鉉基
1
Hyeon-Ki Kim
1
1国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 身体活動研究部
pp.442-444
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn144040442
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はじめに
骨格筋量の維持・改善は,健康寿命の延伸をめざすうえで重要である.骨格筋は身体においてもっとも大きな組織であり,エネルギー代謝やアミノ酸プールとしての役割のみならず,身体活動や運動を司る.したがって,骨格筋量を維持・改善することは,身体機能低下予防においてきわめて重要である.
骨格筋量は,筋タンパクの合成(muscle protein synthesis:MPS)と分解(muscle protein breakdown:MPB)の微細なバランスによって一定に保たれている.食事によるMPSは,主にたんぱく質に含まれる必須アミノ酸による作用である1).とくに,分岐鎖アミノ酸のロイシンが骨格筋内のmTORシグナル伝達経路を活性化させることでmRNAの翻訳調節を行い,栄養摂取時のMPSを促すことが示されている2).
1日におけるたんぱく質の摂取量は偏りがあり,たんぱく質の摂取パターンの違いは骨格筋量に影響を与える.そのため,たんぱく質の摂取量が十分であっても,摂取パターンによって骨格筋量への影響は異なる可能性がある.したがって,たんぱく質の摂取量だけでなく,そのパターンを考慮することは骨格筋量の維持・改善のために重要である.
本稿では,時間栄養学の観点から検討した,骨格筋量に対するたんぱく質の摂取パターンに関する最近の知見を紹介する.
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