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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
急速に進歩し続けるゲノム・オミクス研究のcutting edge
新しいゲノム異常が導く心不全
-――ゲノムの構造異常とは何か?
Structural variants in primary cardiomyopathy
井上 峻輔
1
Shunsuke INOUE
1
1東京大学大学院医学系研究科先端循環器医科学講座
キーワード:
拡張型心筋症(DCM)
,
遺伝学的検査
,
構造変異(SV)
Keyword:
拡張型心筋症(DCM)
,
遺伝学的検査
,
構造変異(SV)
pp.745-748
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090745
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拡張型心筋症(DCM)は遺伝学的検査が管理の基盤で,既知遺伝子の病的バリアントは約40%に検出されるが,陰性例でも家族歴があり未解明因子(missing heritability)が示唆される.候補のひとつが構造変異(SV)である.ショートリードシークエンス(SRS)は一塩基置換(SNV)や数塩基の挿入・欠失(indel)に強い一方,SVの多くが500bp超でSRSの可読長を超え,またエクソン中心(全ゲノムの約1%)の設計のため,ブレイクポイントを捉えにくい.SVの検出法としては,MLPAによりエクソン欠失・重複を簡便に行えるほか,ロングリードシークエンス(LRS)によりブレイクポイント,非コード領域,逆位を解析することが可能となった.さらに,これらの解析手法を用いる症例の特定に,SRSデータからSVを予測するツールが開発され,近年の研究では代表的な心筋症遺伝子におけるSVの存在が報告され,遺伝診断の精度向上の余地を示している.

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