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特集 心筋炎――医療と医学の最前線
慢性心筋炎と拡張型心筋症
Disease concept on chronic myocarditis and dilated cardiomyopathy
大郷 恵子
1
Keiko OHTA-OGO
1
1国立循環器病研究センター病理部
キーワード:
慢性心筋炎
,
拡張型心筋症(DCM)
,
炎症性心筋症
,
CD3陽性Tリンパ球
,
リスク層別化
Keyword:
慢性心筋炎
,
拡張型心筋症(DCM)
,
炎症性心筋症
,
CD3陽性Tリンパ球
,
リスク層別化
pp.988-991
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28211988
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心筋の慢性炎症は,心筋細胞の傷害・脱落と線維化の進行により,心拡大や心機能低下をきたしうることから,拡張型心筋症(DCM)の主要な病因にあげられている.わが国では慢性心筋炎を数カ月間以上持続する心筋炎と定義し,その病理組織では線維化や脂肪化に加えて,炎症細胞浸潤と,それに伴う心筋細胞傷害を重視してきた.一方,WHO分類をもとに欧州を中心として,炎症の有無を単核球の免疫組織学的数値基準により判定する “炎症性(拡張型)心筋症” の概念が徐々に広まっているが,定義が統一されておらず混乱している.心筋の炎症は不良な予後と関連するが,筆者らは最近,心筋内CD3陽性Tリンパ球数がDCMの独立した予後予測因子で,リスク層別化に役立つ可能性を示した.したがって,特に予後不良のCD3+-High群を区別したカットオフ値(CD3陽性Tリンパ球数≧24個/mm2)を “慢性心筋炎” の診断のための新たな組織基準として提唱したい.
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