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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
急速に進歩し続けるゲノム・オミクス研究のcutting edge
肥大型心筋症の多様性に挑むゲノム解析
-――HCM・HOCM・d-HCMの分岐点
Decoding phenotypic diversity in hypertrophic cardiomyopathy through genomics
杉浦 健太
1
,
久保 亨
1
Kenta SUGIURA
1
,
Toru KUBO
1
1高知大学医学部老年病・循環器内科学
キーワード:
肥大型心筋症(HCM)
,
遺伝子解析
,
表現型
Keyword:
肥大型心筋症(HCM)
,
遺伝子解析
,
表現型
pp.740-744
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090740
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肥大型心筋症(HCM)は,主にサルコメア遺伝子の異常によって引き起こされる心筋疾患であるが,その臨床像や進展リスクは多様である.本稿では,HCMの表現型〔拡張相肥大型心筋症(d-HCM),閉塞性肥大型心筋症(HOCM),心室中部閉塞性心筋症(MVO),心尖部肥大型心筋症(ApHCM)〕と遺伝学的背景との関係を最新の知見に基づいて概説する.MYBPC3変異例では,MYH7変異例に比べて左室駆出率(LVEF)の低下が生じやすいことや,HOCMでは,遺伝子変異の検出率が通常のHCMよりも低く,流出路狭窄の重症度はサルコメア遺伝子変異の有無だけでは説明できないことが明らかになっている.これらの知見を踏まえ,HCMの遺伝学的検査の臨床的利点や限界,今後の診療における個別化医療の展望を述べる.

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