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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
出血性疾患――病態の解明と診断,治療の進歩
自己免疫性後天性凝固因子欠乏症
-――後天性血友病以外
Autoimmune acquired coagulation factor deficiency
橋口 照人
1
Teruto HASHIGUCHI
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科血管代謝病態解析学分野
キーワード:
インヒビター
,
凝固因子
,
クリアランス抗体
,
自己抗体
,
出血
Keyword:
インヒビター
,
凝固因子
,
クリアランス抗体
,
自己抗体
,
出血
pp.740-744
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090740
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後天性凝固因子欠乏症には,インヒビターの出現により止血反応が阻害される自己免疫性後天性凝固因子欠乏症(AiCFD)と,インヒビターの出現がない非自己免疫性後天性凝固因子欠乏症(nAiCFD)がある1).AiCFDとnAiCFDの比較では圧倒的にnAiCFDが多いが,原因不明の出血症状を認めた際にはAiCFDを常に念頭におくべきであり,適格な鑑別診断が必須である.クロスミキシングテスト(CMT)が欠乏パターンを示す場合,先天性あるいは消費による凝固因子欠乏症とみなされる.しかし欠乏パターンであっても,凝固因子活性を阻害することなく凝固因子に結合してそのクリアランスを亢進させる抗体の場合は,下に凸の曲線を描くことからAiCFDを鑑別疾患から外してはいけない.AiCFD診断の際は活性/抗原量比,インヒビターの証明に努めるとともに,慎重にnAiCFDの可能性を除外すべきである.インヒビターの簡易検出法の開発はこれからの重要課題である.

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