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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
出血性疾患――病態の解明と診断,治療の進歩
後天性血友病
-――診療ガイドライン(2017改訂版)以降の進歩と課題
Acquired hemophilia
――Advances and challenges since the Clinical Guideline 2017
荻原 建一
1
Kenichi OGIWARA
1
1奈良県立医科大学小児科
キーワード:
後天性血友病
,
血液凝固第Ⅷ因子インヒビター
,
免疫抑制療法(IST)
,
エミシズマブ
Keyword:
後天性血友病
,
血液凝固第Ⅷ因子インヒビター
,
免疫抑制療法(IST)
,
エミシズマブ
pp.735-739
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090735
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後天性血友病A(AHA)は,血液凝固第Ⅷ因子(FⅧ)に対する自己抗体(インヒビター)が自然発生し,皮下出血や筋肉内出血を特徴とするまれな自己免疫性疾患である.発症には免疫寛容の破綻やサイトカイン異常が関与し,先天性血友病に特徴的な関節出血はまれである.診断は活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)延長とFⅧ活性低下の確認に基づき,FⅧインヒビター測定が不可欠であるが,迅速にAPTT延長の鑑別診断をするための補助的な検査として,APTTクロスミキシング試験がある.治療は止血療法と免疫抑制療法(IST)が基本であるが,エミシズマブや遺伝子組換えブタFⅧ製剤の登場で治療戦略が拡がった.特にISTが困難な高齢者において,IST-sparing(軽減・回避)の可能性が示されている.今後,診療ガイドラインの改訂や疾患登録の進展により,診療の質向上とエビデンス創出に資することが期待される.

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