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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
出血性疾患――病態の解明と診断,治療の進歩
出血性線溶異常症
-――PAI-1欠乏症,α2-PI欠乏症,TM/TAFI異常症
Bleeding disorders caused by hyperfibrinolysis
――PAI-1 deficiency, α2-PI deficiency, TM/TAFI disorder
鈴木 優子
1
Yuko SUZUKI
1
1浜松医科大学医学部医生理学講座
キーワード:
出血
,
線溶促進
,
線溶抑制因子機能不全
,
クロット溶解アッセイ
Keyword:
出血
,
線溶促進
,
線溶抑制因子機能不全
,
クロット溶解アッセイ
pp.745-749
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090745
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出血の原因検索として血小板・凝固機能などの凝血学的検査を行っても,明らかな異常が認められないことがしばしばある.その際,線維素溶解(線溶)機能異常はその妥当な評価法が確立されていないことから,十分に検討されていないと思われる.国際的にも当該病態に対する確立された診断基準はなく,出血時の線溶機能評価は試行錯誤されているのが現状である.筆者らは,原因不明の大出血症例の線溶機能を的確に評価することにより,先天性線溶抑制因子欠乏症を同定した.極めてまれな病態の発見契機となった検査法(フィブリンクロット溶解アッセイ)の有用性が改めて認識され,これは凝固が生じてはじめて作動する線溶系の制御能を評価する最適なツールであると考える.最近,筆者らは線溶抑制機能不全による線溶促進病態の診断・治療を目的とした「出血性線溶異常症診断基準」を作成した.現在,これを用いて出血性疾患における線溶機能異常の実態解明と治療法の最適化を進めている.

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