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特集 リン代謝研究の最新動向と臨床的意義
生体のリン感知機構
Phosphate-sensing mechanisms
髙士 祐一
1
Yuichi TAKASHI
1
1福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科学講座
キーワード:
骨
,
線維芽細胞増殖因子23(FGF23)
,
線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)
,
GALNT3遺伝子産物
Keyword:
骨
,
線維芽細胞増殖因子23(FGF23)
,
線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)
,
GALNT3遺伝子産物
pp.568-572
発行日 2025年8月23日
Published Date 2025/8/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294080568
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血中リン濃度は,線維芽細胞増殖因子23(FGF23)によって厳密に制御されている.FGF23は骨により産生・分泌され,血中リン濃度を低下させる作用を有するホルモンである.細胞外リン濃度が上昇すると,骨のFgf23遺伝子自体の発現に変化は認められないが,Galnt3遺伝子の発現が亢進し,翻訳後修飾機構を通じて活性を有する全長FGF23が増加する.この調節にはERK経路が関与し,線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)のリン酸化がその起点となっている.FGFR1は骨におけるリン感知受容体として機能し,欠損マウスでは高リン血症と寿命の短縮が確認された.一方,生体のリン感知機構に関しては不明な点も多く残されており,組織ごとに特異的かつ多様である可能性が示唆されている.今後のさらなる知見の積み重ねにより,リン代謝異常をきたす疾患への新規治療法開発へと結実することが期待される.

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