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特集 リン代謝研究の最新動向と臨床的意義
腸管リン酸吸収機構の最新知見
New insights into intestinal phosphate absorption mechanisms
松井 功
1
Isao MATSUI
1
1大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
キーワード:
腸管リン酸吸収
,
傍細胞経路
,
タイトジャンクション(TJ)
,
テナパノル
,
高リン血症
Keyword:
腸管リン酸吸収
,
傍細胞経路
,
タイトジャンクション(TJ)
,
テナパノル
,
高リン血症
pp.564-567
発行日 2025年8月23日
Published Date 2025/8/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294080564
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慢性腎臓病(CKD)患者における高リン血症管理には,腸管からのリン酸吸収抑制が重要である.腸管上皮細胞におけるリン酸吸収は経細胞経路と傍細胞経路の2つに大別され,通常の食事負荷下では,主に傍細胞経路でリン酸が吸収されることが明らかになってきた.テナパノルは腸管上皮細胞のNHE3(Na+/H+交換輸送体3)を阻害する薬剤であり,傍細胞経路を制御することで腸管のリン酸吸収を抑制するとされている.臨床試験では,テナパノル投与により維持血液透析患者の血清リン値を有意に低下させることが明らかにされ,従来のリン吸着薬に比べ,服薬錠数の削減とQOLの向上が期待されている.本稿では,腸管リン酸吸収機構に関する最新知見と,テナパノルの作用機序および臨床的有用性について概説する.

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