院内感染コントロールABC(2)
アウトブレイクの感知と予防
佐竹 幸子
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.330-332
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101021
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アウトブレイクとは何か
ある疾病が一定の地域(例えば,ある病院やある病棟)において一定の率で発生し続けているとき,これをエンデミック(endemic:局地的流行,地方病的流行)という.一定の地域において同じ疾患が明らかに普通以上に多発し,しかもそれが共通の原因によって起こっているとき,これをエピデミック(epidemic:流行)またはアウトブレイク(outbreak)という.この「普通以上に」が重要であり,何を「普通」というのかは閾値(ベースライン)の項で説明する.
1. エンデミックとエピデミック(アウトブレイク)の区別
院内感染発生率を求めるために日常のサーベイランス業務で分子としてカウントしている術後創感染や中心血管ラインに関連した菌血症などの院内感染の大部分は,散発的に起こっている出来事であり,エンデミックである.エンデミックの場合,病棟,診療科,感染部位,患者のリスク因子などを一定にした分母で院内感染の月間あるいは年間発生率を比較するとほぼ一定した値を示し,統計学的有意差はみられない.
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