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第1土曜特集 肥満症――代謝異常から全身性疾患へのパラダイムシフト
肥満関連疾患の治療戦略
肥満症と心不全
-――減量は新たな心不全の治療戦略となりうるか?
Obesity and heart failure
――Could weight loss be a new heart failure treatment strategy?
田中 秀和
1
Hidekazu TANAKA
1
1神戸大学大学院医学研究科循環器内科学分野
キーワード:
心不全
,
肥満
,
左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)
,
GLP-1受容体作動薬
Keyword:
心不全
,
肥満
,
左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)
,
GLP-1受容体作動薬
pp.957-964
発行日 2025年6月7日
Published Date 2025/6/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293100957
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肥満は心不全の危険因子であり,心血管関連死を増加させる.そして,肥満はステージA心不全(危険因子を持つが器質的心疾患がなく,心不全症候のない心不全)における危険因子のひとつとしても定義されている.特に肥満は左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)と密接に関連していることが知られており,米国では,HFpEFの80%に肥満が合併している.さらに,欧米のみならず日本でも肥満は増加傾向であり,心不全の進展抑制のためにも肥満の管理は重要である.しかし,肥満と心不全の関係は複雑であり,心不全患者の肥満にどのように介入するべきかについて明確な指針がないのが現状である.近年,GLP-1受容体作動薬による肥満の是正が,HFpEF患者に対して有用であるという研究結果が複数報告されており,新たなHFpEFの治療法として注目されている.

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