Japanese
English
第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
治療
うつ病治療における栄養学的配慮
Nutritional consideration in the treatment of depressive disorder
功刀 浩
1
Hiroshi KUNUGI
1
1帝京大学医学部精神神経科学講座
キーワード:
うつ病
,
肥満
,
ミネラル
,
ビタミン
,
栄養食事指導
Keyword:
うつ病
,
肥満
,
ミネラル
,
ビタミン
,
栄養食事指導
pp.1196-1201
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131196
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現代の食生活はエネルギー過剰摂取になりがちな一方で,加工食品の摂取量の増加により食物繊維,ビタミン,ミネラル,ポリフェノールなどの摂取不足に陥りやすい.これらは,うつ病のリスクを高めることが知られている.したがって,うつ病患者では体重測定や血液検査などによる栄養面のアセスメントをルーチンで行うべきである.肥満やメタボリックシンドローム,糖尿病などのエネルギー過剰摂取に対しては栄養食事指導や運動の推奨などの介入を行う.また,鉄,亜鉛,葉酸,ビタミンDなどの栄養素の不足は高頻度にみられ,バランスのとれた食事の摂取を推奨するとともに,医薬品やサプリメントを用いた栄養補充療法を行うべきである.日本では魚の摂取量が低下しているが,エイコサペンタエン酸(EPA)を中心にしたn-3系多価不飽和脂肪酸の有効性も示唆されている.腸内細菌もうつ病と関連することが示唆されており,プロバイオティクスの有効性が示唆されている.以上の栄養学的介入は,薬物療法などと併行して行うべきうつ病における基本的な戦略として位置づけられよう.

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