Japanese
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特集 脂質多様性の生物学と疾患制御
細胞外小胞から産生される機能性脂質
Bioactive lipids produced from extracellular vesicles
村上 誠
1
Makoto MURAKAMI
1
1東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター健康環境医工学部門
キーワード:
分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)
,
リン脂質
,
細胞外小胞(EV)
,
脂質メディエーター
,
関節炎
,
B細胞リンパ腫
,
アレルギー
Keyword:
分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)
,
リン脂質
,
細胞外小胞(EV)
,
脂質メディエーター
,
関節炎
,
B細胞リンパ腫
,
アレルギー
pp.825-830
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289110825
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細胞外小胞(EV)は,その内包物を受容細胞に伝達することによって,複雑な組織微小環境における細胞間コミュニケーションを媒介する.従来のEV研究では,EVに内包されるタンパク質や小分子RNAが研究の主役であった.本稿では,EV膜を構成する脂質に焦点を当て,機能性脂質(脂質メディエーター)の運搬体または供給源としてのEVの新たな側面について解説する.細胞外において,EV膜を構成するリン脂質は分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)による加水分解を受け,脂質メディエーター前駆体(高度不飽和脂肪酸,リゾリン脂質)を供給する.さらに,sPLA2の作用を受けたEVは形態変化を生じて受容細胞に取り込まれやすくなり,小分子RNAなどの内包物の伝播を促進する.すなわち,EVはsPLA2に反応の場を提供し,sPLA2による生体応答を仲介する役目を担っているのである.
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