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第1土曜特集 MASLD/MASH――研究と診療の最新情報
病態
MASLD肝癌における免疫微小環境
Tumor immune microenvironment of MASLD-related HCC
古田 訓丸
1
,
小玉 尚宏
1
Kunimaro FURUTA
1
,
Takahiro KODAMA
1
1大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学
キーワード:
Cancer-immunity cycle
,
肝癌
,
免疫微小環境
,
Steatotic-HCC
Keyword:
Cancer-immunity cycle
,
肝癌
,
免疫微小環境
,
Steatotic-HCC
pp.385-390
発行日 2024年5月4日
Published Date 2024/5/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28905385
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肝癌における免疫微小環境には,細胞傷害性T細胞や抗原提示細胞などから構成されるcancer-immunity cycleを中心に,免疫抑制作用を持つ制御性T細胞(Treg)や多様な骨髄由来抑制細胞(MDSC),癌関連線維芽細胞(CAF)などが存在する.Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease(MASLD)/metabolic dysfunction-associated steatohepatitis(MASH)を背景とする肝細胞癌(HCC)においては,代謝の歪みが癌免疫微小環境にさまざまな修飾を加える.MASLD肝では抗腫瘍作用を持つCD4+T細胞が枯渇する一方,CD8+T細胞による癌監視システムの正常な機能が喪失する.さらに肥満を背景に病的変化をきたした血小板,脂肪組織,腸内細菌叢などの肝外臓器/組織も,液性因子や胆汁酸などのシグナルを介して免疫微小環境に作用することで癌の進展や抑制に寄与している.また,腫瘍部の脂肪化を伴うsteatotic HCCにおける免疫微小環境の特性を解明することで,非侵襲的な画像検査所見から非B非C型HCCに対する免疫複合療法の効果予測を試みた筆者らの研究を紹介する.免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が肝癌薬物療法の主役となった現在,MASLD肝癌の免疫微小環境をより詳細に解明することで,創薬標的や治療予測マーカーの開発が進むことが期待される.
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