今月の主題 ウイルス感染症─最新の動向
総論
ウイルス感染と発癌
有海 康雄
1
,
加藤 宣之
1
Yasuo ARIUMI
1
,
Nobuyuki KATO
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腫瘍ウイルス学分野
キーワード:
ヒト癌ウイルス
,
p53
,
Rb
Keyword:
ヒト癌ウイルス
,
p53
,
Rb
pp.29-35
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101858
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ヒトの約15%の癌はウイルス性であり,これまでEpstein-Barrウイルス,ヒトパピローマウイルス,B型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルス,ヒトT細胞白血病ウイルス1型,ヒトヘルペスウイルス8型/カポジ肉腫関連ウイルスの6種類のヒト癌ウイルスが知られていたが,最近新たに発見されたメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)を加えて7種類となった.癌ウイルスは,細胞増殖能の亢進(Rbの機能抑制),アポトーシスからの回避(p53の機能抑制),そして,細胞の不死化(テロメラーゼの活性化)の三つのステップにより,細胞を癌化する.ウイルスの癌遺伝子産物は発癌には必要であるが,さらに他の因子や宿主遺伝子の変異も必要である.
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