Japanese
English
第1土曜特集 間質性肺疾患の研究と診療UPDATE
研究
細胞多様性と肺線維症
Cellular diversity and pulmonary fibrosis
呉 斌
1
,
七野 成之
1
,
松島 綱治
1
Bin WU
1
,
Shigeyuki SHICHINO
1
,
Kouji MATSUSHIMA
1
1東京理科大学生命医科学研究所炎症・免疫難病制御部門
キーワード:
特発性肺線維症(IPF)
,
肺線維症
,
筋線維芽細胞(MYF)
,
single-cell RNA-sequencing(scRNA-seq)
,
上皮損傷
,
マクロファージ
Keyword:
特発性肺線維症(IPF)
,
肺線維症
,
筋線維芽細胞(MYF)
,
single-cell RNA-sequencing(scRNA-seq)
,
上皮損傷
,
マクロファージ
pp.16-22
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2830116
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
肺線維症とは,肺における線維芽細胞の活性化と過剰な細胞外マトリックス(ECM)の産生が生じ,肺胞構造の破壊,肺胞壁の肥厚が引き起こされ,最終的に呼吸不全に至る疾患である.なかでも原因不明の特発性肺線維症(IPF)は診断後の生存期間中央値が2~4年と非常に予後不良であり,現在,根治を可能とする治療薬は存在しない.IPFの発症機序はⅡ型肺胞上皮細胞(AEC2)の機能不全からはじまり,線維芽細胞の活性化とECMの過剰産生が誘導され,最終的に組織破壊を伴うECMの過剰沈着が生じると推定されており,そのプロセスにはさまざまな細胞が関与すると考えられている.近年,single-cell RNA-sequencing(scRNA-seq)解析技術により,肺組織の損傷からはじまる炎症,修復,線維化の各ステージにおいて,線維芽細胞の多様性や役割が解明されつつある.また,IPF患者およびマウスモデルにおける知見から,肺線維症の調節役として注目されてきたマクロファージについてもscRNA-seq解析を用いた新たな知見が得られている.筆者らは,肺線維症に関わるマクロファージの多様性および病態生理学的役割の解明に取り組み,線維化を促進する間質マクロファージ(IM)の新規マーカー分子,かつ線維化促進因子として補体分子C1qを見出した.IMの線維化促進の役割の一端を担うC1qが,新たな治療標的分子へ発展することが期待される.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.