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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.26
死細胞クリアランス不全がもたらす炎症慢性化機構の解明
Molecular mechanisms underlying chronic inflammation caused by impaired dead cell clearance
田中 都
1
,
菅波 孝祥
1
Miyako TANAKA
1
,
Takayoshi SUGANAMI
1
1名古屋大学環境医学研究所分子代謝医学分野
キーワード:
細胞死
,
死細胞貪食
,
急性腎障害(AKI)
,
マクロファージ
Keyword:
細胞死
,
死細胞貪食
,
急性腎障害(AKI)
,
マクロファージ
pp.857-861
発行日 2025年3月8日
Published Date 2025/3/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292100857
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SUMMARY
炎症とは,生体に対するさまざまなストレスによって生じる反応であり,感染性炎症や非感染性炎症,急性炎症や慢性炎症など,さまざまな種類が存在する.慢性炎症では,種々のストレスにより各臓器を特徴づける実質細胞と血管構成細胞,線維芽細胞,免疫細胞などの間質細胞の相互作用が遷延化し,臓器を構成する細胞の種類や数がダイナミックに変化する “組織リモデリング” を生じて,臓器の機能不全に至ることが明らかになりつつある.最近,このような組織リモデリングにおいて,細胞死の重要性が明らかになってきた.従来,細胞死は,細胞の一生の最終過程であり,生じた死細胞は単に捨て去られるか,貪食細胞に処理される存在であると考えられてきたが,近年,死細胞からさまざまな情報が発信されることが明らかとなり,死細胞そのものの重要性が着目されている.また,死細胞由来物質によりマクロファージが機能変容を起こし,死細胞クリアランスが障害されると,炎症が遷延化する可能性が指摘されている.

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