Japanese
English
第1土曜特集 基盤病態としての慢性炎症
NASHと慢性炎症
Chronic inflammation and nonalcoholic steatohepatitis
伊藤 美智子
1
,
菅波 孝祥
1
Michiko ITOH
1
,
Takayoshi SUGANAMI
1
1名古屋大学環境医学研究所分子代謝医学分野
キーワード:
細胞死
,
マクロファージ
,
脂肪毒性
,
crown-like structure(CLS)
Keyword:
細胞死
,
マクロファージ
,
脂肪毒性
,
crown-like structure(CLS)
pp.38-42
発行日 2022年7月2日
Published Date 2022/7/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2820138
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非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)はメタボリックシンドロームの肝臓における表現型といわれ,肝臓への過剰な脂質蓄積を背景に慢性炎症が惹起され,組織線維化から臓器機能不全に至る疾患である.NASHでは中性脂肪に加え,細胞障害性を有する脂質の蓄積がもたらす脂肪毒性によって肝細胞死が誘導される.肝臓は定常状態から多数の組織常在性マクロファージが存在するが,肝障害時には骨髄由来の浸潤マクロファージが増加し,組織内の細胞構成や活性化状態はダイナミックに変化する.シングルセル解析によってマクロファージの多様性が指摘されているが,死細胞をマクロファージが取り囲む病理学的構造に基づく解析においても,疾患特異的マクロファージの亜集団の存在が明らかになってきた.代謝ストレスによってもたらされる肝細胞死の特性と,病態形成に直結するマクロファージの機能解析が進むことで,新規治療・診断ターゲットの探索につながることが期待される.
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