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第1土曜特集 MASLD/MASH――研究と診療の最新情報
疾患概念・診断・フォローアップ
MASLD/MASHにおける遺伝子多型と予後
The impact of genetic polymorphism on MASLD/MASH
瀬古 裕也
1
Yuya SEKO
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
PNPLA3
,
TM6SF2
,
HSD17B13
Keyword:
PNPLA3
,
TM6SF2
,
HSD17B13
pp.340-344
発行日 2024年5月4日
Published Date 2024/5/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28905340
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Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease(MASLD)は,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とほぼ同様の患者層とされている.NAFLD発症,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)への進展,肝発癌には環境要因に加えてPNPLA3を代表とする遺伝的要因が関与していることが想定されている.日本人はPNPLA3リスクアレルの保有者が多いことが知られているが,NAFLD患者におけるイベント発生や予後についても遺伝的要因の関与が予想される.わが国におけるPNPLA3がNAFLD患者の肝疾患関連イベント発症および予後に及ぼす影響を多施設共同研究で検討した.肝生検で診断した日本人のNAFLD患者において,最も多い死因は肝不全,次いで肝細胞癌であった.PNPLA3遺伝子多型は肝線維化進展のみならず,肝疾患関連イベントにも関与していた.肝疾患関連死亡が多い日本では,欧米よりもPNPLA3の病態,予後に及ぼす影響が強いことが想定される.今後,複数の遺伝子多型,環境要因との組み合わせによる高リスク群の囲い込み戦略の構築や治療への応用が期待されている.
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