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第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学と疾患オミクス研究
アルツハイマー病ゲノム解析の現状
The status of genomic analysis in Alzheimer’s disease
菊地 正隆
1
,
池内 健
2
Masataka KIKUCHI
1
,
Takeshi IKEUCHI
2
1東京大学大学院新領域創成科学研究科
2新潟大学脳研究所
キーワード:
アルツハイマー病(AD)
,
APOE遺伝子
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
レアバリアント
,
ポリジェニックリスクスコア(PRS)
Keyword:
アルツハイマー病(AD)
,
APOE遺伝子
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
レアバリアント
,
ポリジェニックリスクスコア(PRS)
pp.1096-1103
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131096
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アルツハイマー病(AD)の創薬開発が進む一方,開発した薬剤が効果的に働き副作用による影響も少ない患者群を選別できるような治療プロトコールの開発も急務である.たとえばその選別の一つとして遺伝的リスクの強さがあげられる.実際に最近認可されたレカネマブは,遺伝的リスクに応じて薬効や副作用発生率に差があることが報告されている.このことから,ADの疾患関連バリアントを同定することは患者の層別化やリスク予測に有用であることがわかってきている.現在,ADの最大の遺伝的リスクバリアントであるAPOE遺伝子に加え,欧米や日本を含む東アジアにおいてゲノムワイド関連解析(GWAS)やレアバリアント解析,またポリジェニックリスクスコア(PRS)を用いた患者層別化が進んでいる.今後,ゲノム解析から得られた知見を基に,分子生物学的解析による病理機序の解明や,機械学習技術などを用いた治療薬候補化合物の探索がますます重要になると考えられる.
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