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特集 精神疾患における環境要因と遺伝-環境相互作用
アルツハイマー病の遺伝-環境相互作用
Gene-environmental interaction of Alzheimer’s disease
小原 知之
1
Tomoyuki OHARA
1
1九州大学病院精神科神経科
キーワード:
アルツハイマー病(AD)
,
遺伝子
,
遺伝-環境相互作用
Keyword:
アルツハイマー病(AD)
,
遺伝子
,
遺伝-環境相互作用
pp.573-576
発行日 2024年2月17日
Published Date 2024/2/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28807573
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アルツハイマー病(AD)は,認知症のなかで最も頻度の高い神経変性疾患である.ADの発症において,常染色体優性遺伝ADはわずか1%にすぎず,そのほとんどが複数の感受性遺伝子とさまざまな環境因子が関与する複合病態であることがわかっている.既報の研究から,ADの最も強力な遺伝的危険因子であるAPOE-ε4対立遺伝子を有していても高い教育,禁煙,多様性に富む健康的な食習慣が,その遺伝的リスクを低減することが示唆される.さらに既報の遺伝的危険因子を用いたポリジェニックリスクスコア(PRS)と環境要因の遺伝-環境相互作用について検討した報告から,遺伝的リスクが高い状態であっても健康的な生活習慣の意識と実践により,認知症の発症リスクが修飾できる可能性がある.さらなる基礎・臨床研究を通じて認知症の遺伝的リスクに応じたリスク低減の方法が開発され,その予防法が社会実装されることに期待したい.
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