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特集 精神疾患における環境要因と遺伝-環境相互作用
統合失調症の環境要因と遺伝-環境相互作用
Environmental factors and genetic-environmental interactions of schizophrenia
長崎 由佳子
1
,
木村 大樹
1
,
池田 匡志
1
Yukako NAGASAKI
1
,
Hiroki KIMURA
1
,
Masashi IKEDA
1
1名古屋大学大学院医学系研究科精神医学教室
キーワード:
統合失調症(schizophrenia)
,
遺伝-環境相互作用
,
two-hit仮説
Keyword:
統合失調症(schizophrenia)
,
遺伝-環境相互作用
,
two-hit仮説
pp.563-567
発行日 2024年2月17日
Published Date 2024/2/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28807563
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双生児研究や家系研究の結果は,統合失調症(schizophrenia)の発症には遺伝要因が強く関与することを示唆している.その事実を基盤としたゲノム研究,特にゲノムワイド関連研究(GWAS)の成果は,多数の小さなエフェクトサイズを持つ遺伝子多型の相加的影響によるポリジェニック(多遺伝子性)が重要であることを証明した.他方,統合失調症においてこれまで研究されてきた環境要因は,産科合併症,冬季の出生,感染症,都市生活,移民,小児期の逆境体験,大麻の使用など,古くから知られているもの以外の進展は乏しい.遺伝-環境相互作用はさらに報告が少ないが,統合失調症の環境リスクを経験した人のうち,実際に発症するのは一部のみであることの理由の一端を説明しうるものであり,今後の進展が期待される.本稿では,統合失調症の環境要因と遺伝-環境相互作用に焦点を当ててレビューするとともに,これらを対象とした研究の重要性を考察する.
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