Japanese
English
特集 精神疾患における環境要因と遺伝-環境相互作用
自閉スペクトラム症の遺伝-環境相互作用および環境要因
Gene-environmental interaction and environmental factors in autism spectrum disorder
古川 佐和子
1
,
木村 大樹
1
,
池田 匡志
1
Sawako FURUKAWA
1
,
Hiroki KIMURA
1
,
Masashi IKEDA
1
1名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野
キーワード:
自閉スペクトラム症(ASD)
,
知的発達症
,
de novoバリアント
,
周産期
Keyword:
自閉スペクトラム症(ASD)
,
知的発達症
,
de novoバリアント
,
周産期
pp.568-572
発行日 2024年2月17日
Published Date 2024/2/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28807568
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自閉スペクトラム症(ASD)は,双生児研究や多発家系研究による疫学的知見から遺伝的要因の関与が指摘され,これまでゲノム解析研究が進められてきた.ゲノム解析研究から判明した重要なバリアントの一種には,親から受け継がれたバリアントではなく児に新規に出現するde novoバリアントがあり,父親の年齢(高齢であること)や環境汚染への曝露による環境要因がその発生に関与している(遺伝-環境相互作用).また,同一ゲノムバリアントを有していてもASD患者の表現型にはばらつきが生じることが知られており,環境要因の影響,特に周産期要因(低酸素,早産・低出生体重など)を中心に関心が持たれている.他方,現在の精神医学の診断基準である『DSM-5-TR精神疾患の診断・統計マニュアル』では,重度の知的発達症を伴う者から高い知的能力を持つ者まで,かなり幅広い集団がASDに含まれている.したがって,この “ばらつき” と関連する可能性のある周産期要因など環境要因のリスクを正確に検討する必要があり,ASD患者の詳細な臨床背景,表現型を入手したうえで解析することが重要である.
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