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English
第1土曜特集 ARDSの治療戦略――個別化診療への道筋
肺傷害のメカニズムと人工呼吸管理
【現在の診療ガイドラインおよびその根拠となる呼吸生理学とエビデンス】
ARDSの不均一な換気分布と重力の関係
-――腹臥位療法,肺リクルートメント,CNAP
The gravity and inhomogeneity of lung in ARDS
星野 太希
1
,
吉田 健史
1
Taiki HOSHINO
1
,
Takeshi YOSHIDA
1
1大阪大学大学院医学系研究科生体統御医学講座麻酔・集中治療医学教室
キーワード:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
胸膜圧勾配
,
腹臥位療法
,
肺リクルートメント
,
continuous negative abdominal pressure(CNAP)
Keyword:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
胸膜圧勾配
,
腹臥位療法
,
肺リクルートメント
,
continuous negative abdominal pressure(CNAP)
pp.58-63
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2860158
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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)肺は,炎症により肺密度の上昇(水密度に限りなく近づく)から重力方向における胸膜圧勾配が増加し,結果的に不均一な換気分布パターンを示す.腹側の過膨張と背側の無気肺により,換気に関与する正常肺領域が減少する結果 “baby lung” と称される.このように換気に関与する肺領域が減少する結果,baby lungは,人工呼吸管理により容易に過伸展に曝され,肺は傷害を受ける.これが人工呼吸器関連肺障害(VILI)である.VILIを最小限にするためには,重力方向に存在する胸膜圧勾配を減らし,換気領域の増加,換気分布を均一化することが肺傷害の減少につながると考えられる.胸膜圧勾配を減少させる方法として,これまでに①腹臥位療法,②肺リクルートメント,③continuous negative abdominal pressure(CNAP)が示されている.
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