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第1土曜特集 ARDSの治療戦略――個別化診療への道筋
総論・メカニズム
ARDSの生物学的病態機序
-――個別化治療に向けて
Biological pathology of ARDS
――Toward personalized treatment
東條 健太郎
1
Kentaro TOJO
1
1横浜市立大学医学部生体制御・麻酔科学講座
キーワード:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
生物学的病態機序
,
病態フェノタイプ
Keyword:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
生物学的病態機序
,
病態フェノタイプ
pp.17-22
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2860117
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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は,さまざまな侵襲が原因となって生じる急性の肺水腫による呼吸不全であり,肺組織の傷害による肺胞バリアー透過性の亢進によって特徴づけられる.免疫系が引き起こす炎症を中心としたさまざまな実行因子が,肺胞上皮細胞,血管内皮細胞,グリコカリックスなどによって構成される肺胞構造を傷害することで病態が形成されるが,炎症の暴走ともいえる状態が生じる明確な機序はわかっていない.このようななかで,ARDSは単一の疾患ではなく複数の病態からなる “症候群” であると考えられるようになってきており,炎症や組織傷害メカニズムが異なるフェノタイプに分かれることが提唱されている.ここでは,ARDSの生物学的病態機序について概説するとともに,病態フェノタイプに基づいた個別化治療アプローチの可能性について論じる.
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