Japanese
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第1土曜特集 ARDSの治療戦略――個別化診療への道筋
その他の治療
ARDSに対する間葉系幹細胞治療
Mesenchymal stem cells for treatment of ARDS
田坂 定智
1
Sadatomo TASAKA
1
1弘前大学大学院医学研究科呼吸器内科学
キーワード:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
間葉系幹細胞(MSCs)
,
抗炎症性サイトカイン
,
細胞外小胞
,
ミトコンドリア機能
Keyword:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
間葉系幹細胞(MSCs)
,
抗炎症性サイトカイン
,
細胞外小胞
,
ミトコンドリア機能
pp.98-102
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2860198
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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療は呼吸管理が中心であるが,死亡率は依然高い水準にある.間葉系幹細胞(MSCs)には幅広い生物活性があることから,ARDSをはじめ,さまざまな病態に対する治療応用の可能性が考えられている.MSCsは血管内皮細胞や肺胞上皮細胞の修復に関与するほか,免疫調節作用や抗微生物作用,抗アポトーシス作用,肺胞腔内の水分クリアランスの促進,肺線維化の抑制など多彩な機能を有し,ARDSに対して保護的に働くと考えられている.作用メカニズムについては不明な部分も多いが,分泌する液性因子やエクソソームを介する機序,MSCsのミトコンドリアを直接あるいは細胞外小胞を介して損傷細胞へ輸送する機序などが考えられている.臨床試験では一部に有効性を示唆する成績が報告されているが,ARDSの原因となる病態や投与のタイミングによる有効性の違い,損傷肺に効率的にMSCsを到達させる方法の確立など,解決すべき課題は多い.
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