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第1土曜特集 ARDSの治療戦略――個別化診療への道筋
肺傷害のメカニズムと人工呼吸管理
【現在の診療ガイドラインおよびその根拠となる呼吸生理学とエビデンス】
「ARDS診療ガイドライン2021」解説
A general statement about ARDS Clinical Practice Guideline 2021
岸原 悠貴
1
,
安田 英人
1
Yuki KISHIHARA
1
,
Hideto YASUDA
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター救急科
キーワード:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
ガイドライン
,
肺保護
Keyword:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
ガイドライン
,
肺保護
pp.38-45
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2860138
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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は,集中治療室(ICU)入室患者の約10%に発症するうえ,死亡割合は40%にも及ぶ危険な症候群である.「ARDS診療ガイドライン2021」は肺保護をキーワードに,成人と小児それぞれに関してARDSの管理に関する最新の知見が集約/整理されており,ARDS管理の全体像の把握に有用である.このガイドラインの推奨の要約には,成人では一回換気量の制限,初期の呼吸管理としての非侵襲的呼吸補助,プラトー圧の制限/高い呼気終末陽圧(PEEP)設定,早期の中等症および重症ARDS患者の長時間(12時間以上)の腹臥位管理,重症ARDS患者へのECMO(extracorporeal membrane oxygenation)導入が,小児では中等症および重症ARDS患者への腹臥位管理が含まれている.既存の概念や器械に関する新たなエビデンスの蓄積,新たな概念や器械の開発により,成人領域はもちろん特に小児領域のエビデンスはさらに変化していく可能性が高いため,「ARDS診療ガイドライン2021」のみならず,今後の改訂にも注目する必要がある.
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