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第1土曜特集 HIVの発見から40年――医学はどう戦ったか,これからどう戦うのか
HIV/AIDSとその治療の新展開
HIV/HCV重複感染と肝移植
HIV/HCV co-infection and liver transplantation
江口 晋
1
Susumu EGUCHI
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科移植・消化器外科学
キーワード:
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
,
C型肝炎ウイルス(HCV)
,
肝移植
,
血友病
,
適応
Keyword:
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
,
C型肝炎ウイルス(HCV)
,
肝移植
,
血友病
,
適応
pp.683-688
発行日 2023年3月4日
Published Date 2023/3/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28409683
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1980年代に,血液製剤を介してのヒト免疫不全ウイルス(HIV)/C型肝炎ウイルス(HCV)重複感染(以下,重複感染)が社会問題となった.その後,HIVのコントロールは良好になったものの,HCV持続感染や抗HIV薬による肝ダメージにより,肝硬変,門脈圧亢進症が進行し死亡する例が1990年代後半に相次いだ.そこで2009年より厚生労働科学研究班(兼松班,江口班)が立ち上がり,オールジャパンでの治療の選択肢として肝移植治療の可能性について研究されてきた.重複感染患者,特に血友病のため血液製剤により感染した患者は,HCV単独感染患者に比べ線維化の進行速度が速く,一度門脈圧亢進症を発症すると予後不良であることを証明した.最近では医学的・科学的な見地から,わが国における重複感染患者における脳死肝移植待機優先順位の提言や,血友病/HIV/HCV重複感染患者の肝移植でのknacks & pitfallsなどを記載した「血液製剤によるHIV/HCV重複感染者に対する肝移植のベストプラクティス」を発行した.本稿では,わが国での重複感染患者の脳死肝移植の現状について,その概要を紹介する.
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