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第1土曜特集 HIVの発見から40年――医学はどう戦ったか,これからどう戦うのか
HIV/AIDSとその治療の新展開
HIVとウイルス性肝炎
-――A型肝炎・B型肝炎
Co-infections
――Hepatitis A, hepatitis B
古賀 道子
1
,
四柳 宏
1
Michiko KOGA
1
,
Hiroshi YOTSUYANAGI
1
1東京大学医科学研究所感染症分野
キーワード:
A型肝炎ウイルス(HAV)
,
B型肝炎ウイルス(HBV)
,
性感染症
,
ワクチン
Keyword:
A型肝炎ウイルス(HAV)
,
B型肝炎ウイルス(HBV)
,
性感染症
,
ワクチン
pp.677-682
発行日 2023年3月4日
Published Date 2023/3/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28409677
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A型肝炎もB型肝炎も性感染し,ワクチン接種にて予防可能な感染症である.2018~2019年に男性間性交渉者(MSM)の間でA型肝炎が流行した.その原因のひとつはA型肝炎ウイルス(HAV)抗体が低下したことにあると思われる.MSM-HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者のA型肝炎ワクチン(エイムゲン®)による抗体獲得率は健常人に比較して低く,HIV感染者は3回接種が必要である.A型肝炎は予後良好な一過性肝炎であるが,ウイルスコントロール良好なHIV感染者が劇症化した報告もあり,注意が必要である.HAVは発症前約2週間~発症後数カ月まで長期に便中に排出されるが,HIV感染者ではさらに排出する期間が長い可能性がある.国内のHIV感染者の約1割がB型肝炎ウイルス(HBV)に持続感染し,約6割がB型肝炎の既往がある.HBVに感染するとcccDNA(covalently closed circular DNA)が肝細胞核内に残り排除は難しい.HBs抗体が出現すれば,機能的治癒と考えられているが,HBs抗原は,CD4数が低いとクリアランスされにくい.抗HBV薬は薬剤耐性を生じないよう,HIV・HBV両者を抑制する抗ウイルス薬を2剤以上組み合わせる.治療開始時・変更時にHBs抗原,HBs抗体,HBc抗体を確認し,感染既往がない場合,あるいは既往があってもHBs抗体が低値(<10mIU/mL)の場合は,ワクチン接種を考慮する.
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