Japanese
English
第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
疾患と細胞死
脳梗塞における神経細胞死の誘導機序
Induction mechanisms of neuronal cell death in the ischemic stroke
中村 朱里
1,2
,
七田 崇
2
Akari NAKAMURA
1,2
,
Takashi SHICHITA
2
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医歯学専攻
2東京都医学総合研究所脳卒中ルネサンスプロジェクト
キーワード:
脳梗塞
,
興奮毒性
,
神経細胞死
,
ダメージ関連分子パターン(DAMPs)
Keyword:
脳梗塞
,
興奮毒性
,
神経細胞死
,
ダメージ関連分子パターン(DAMPs)
pp.506-510
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305506
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脳血管の高度狭窄や虚血により引き起こされる脳梗塞は脳卒中の約70%を占めているが,患者の機能予後を改善する有効な治療法に乏しい状況が続いている.したがって,神経細胞死を防ぎ,脳梗塞の急性期以降においても適用可能な新たな治療法の開発が期待されている.脳虚血により,神経細胞では過剰なグルタミン酸放出に伴う興奮毒性を示し,さまざまな種類の神経細胞死が誘導される.さらに,死細胞からは炎症を惹起する内因性組織因子が放出され,炎症を伴った細胞死の誘導により脳梗塞の病態を悪化させる.このような細胞死を抑制して炎症を制御する治療法の開発は,脳梗塞後の機能障害を軽減するだけでなく,脳梗塞発症後の急性期以降も治療効果をもたらすことが期待できる.本稿では,虚血により誘導される神経細胞死と炎症のメカニズムについて概説する.
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