特集 "多才"なマクロファージと疾患との関わり
マクロファージによる脳梗塞後炎症の誘導
七田 崇
1
,
吉村 昭彦
1慶応義塾大学 医学部微生物学免疫学教室
キーワード:
遺伝子発現調節
,
疾患モデル(動物)
,
脳炎
,
脳虚血-一過性
,
脳梗塞
,
マクロファージ
,
ノックアウトマウス
,
Interleukin-17
,
Toll-Like Receptors
,
腫瘍壊死因子アルファ
,
Peroxiredoxins
,
Interleukin 1 Beta
,
Interleukin 23
,
遅発性神経細胞死
Keyword:
Disease Models, Animal
,
Ischemic Attack, Transient
,
Encephalitis
,
Gene Expression Regulation
,
Macrophages
,
Tumor Necrosis Factor-alpha
,
Mice, Knockout
,
Interleukin-17
,
Brain Infarction
,
Toll-Like Receptors
,
Interleukin-1beta
,
Interleukin-23
,
Peroxiredoxins
pp.1225-1230
発行日 2012年10月22日
Published Date 2012/10/22
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脳虚血に伴う組織傷害において炎症は重要な病態の進行過程の1つである.梗塞による細胞死に伴って浸潤マクロファージがTLRを介して活性化される.筆者らはTLRを介してマクロファージを活性化するDAMPs として虚血壊死に陥った脳細胞から放出されるペルオキシレドキシン(Prx)ファミリータンパク質を同定した.Prxは脳虚血発症12時間後に脳組織で強く発現誘導され,同時期に脳内に浸潤したマクロファージをTLR2,TLR4依存的に活性化してIL-23やIL-1β,TNF- αなどの炎症性サイトカインを産生させる.IL-23はさらに遅れて浸潤するγδT細胞からIL-17を産生誘導し,組織傷害を促進する.今回明らかになった一連の炎症メカニズムを標的として,脳梗塞に対する新規の神経保護療法の開発が期待される.
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