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第1土曜特集 生体システムのレジリエンス――神経–免疫–内分泌連関から探る適応と修復のメカニズム
脳梗塞と修復性ミクログリア
Brain infarction and reparative microglia
猪狩 孝輝
1
,
七田 崇
1
Koki IGARI
1
,
Takashi SHICHITA
1
1東京科学大学難治疾患研究所神経炎症修復学分野
キーワード:
脳梗塞
,
ミクログリア
,
貪食
,
修復性因子
,
細胞外小胞(EVs)
Keyword:
脳梗塞
,
ミクログリア
,
貪食
,
修復性因子
,
細胞外小胞(EVs)
pp.14-18
発行日 2025年10月4日
Published Date 2025/10/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295010014
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脳血管の高度狭窄や虚血により引き起こされる脳梗塞は,脳卒中の約80%を占めており,超高齢社会における要介護や寝たきりの主要因となっている.脳梗塞では脳組織の虚血壊死に伴って炎症が惹起されるが,ミクログリアは脳組織の損傷に反応して迅速に活性化し,炎症を促進することによって神経傷害を増悪させる.その後,脳梗塞患者や動物モデルでは発症後数カ月をかけて神経症状が改善することから,脳には失った脳機能を回復するための分子・細胞メカニズムが存在すると考えられる.このような脳組織の修復過程において,ミクログリアは細胞残骸を貪食して排除し,神経栄養因子を産生して脳機能回復を促進する役割を持つ.本稿では,ミクログリアが担う “脳機能回復をもたらす免疫応答” に焦点をあて,その多岐にわたる機能と治療法開発の可能性について概説する.

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