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第1土曜特集 1型糖尿病――診療と研究の最前線
病態研究
1型糖尿病の病態と診断における膵島関連自己抗体の意義
The role of anti-islet autoantibodies in the pathogenesis and diagnosis of type 1 diabetes
川﨑 英二
1
Eiji KAWASAKI
1
1新古賀病院副院長,同糖尿病センターセンター長
キーワード:
膵島関連自己抗体
,
緩徐進行1型糖尿病
,
親和性
,
予知
Keyword:
膵島関連自己抗体
,
緩徐進行1型糖尿病
,
親和性
,
予知
pp.695-701
発行日 2022年5月7日
Published Date 2022/5/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28106695
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1型糖尿病の病態把握と診断に有用である膵島関連自己抗体は,膵β細胞破壊の結果産生されるバイオマーカーであり,インスリン自己抗体(IAA),GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素)抗体,IA-2(チロシンホスファターゼ類似蛋白)抗体,ZnT8(亜鉛トランスポーター8)抗体の4つが主として測定される.GAD抗体は1型糖尿病以外の自己免疫疾患でも検出され,膵島炎を反映していない場合がある.一方,IA-2抗体とZnT8抗体は膵β細胞破壊のサロゲートマーカーという位置づけを有している.日本人1型糖尿病の約95%に膵島関連自己抗体が検出され,欧米白人の陽性率に匹敵する.いずれの膵島関連自己抗体も罹病期間とともに陽性率が低下するが,とくに発症年齢10歳以下の患者で消失が早い.2016年よりRIA法に代わって使用されているGAD抗体ELISA法は低抗体価域における検出感度に優れているが,フェノタイプ2型の患者で偶然発見された場合,GAD抗体価(ELISA法)6.5U/mL未満は偽陽性のおそれがあり,再測定が望まれる.本稿では,1型糖尿病における膵島関連自己抗体の意義について,最近の話題を含め概説した.
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