Japanese
English
第1土曜特集 1型糖尿病――診療と研究の最前線
病態研究
1型糖尿病モデル動物を用いた成因研究
Research for pathogenesis of type 1 diabetes using animal model
安田 尚史
1
Hisafumi YASUDA
1
1神戸大学大学院保健学研究科パブリックヘルス領域健康科学分野
キーワード:
1型糖尿病(T1D)
,
自己免疫
,
腸管ホメオスタシス
,
腸内細菌叢
,
免疫細胞内代謝
Keyword:
1型糖尿病(T1D)
,
自己免疫
,
腸管ホメオスタシス
,
腸内細菌叢
,
免疫細胞内代謝
pp.702-706
発行日 2022年5月7日
Published Date 2022/5/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28106702
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ヒト自己免疫性1型糖尿病(T1D)は,代表的T1Dモデル動物であるNOD(non-obese diabetic)マウスなどを用いた研究により,遺伝素因に加えて,環境因子が引き金となって,膵β細胞に対する自己免疫反応により膵島炎が進行し発症に至ることが示されてきた.近年,環境因子による腸管ホメオスタシスの変化と自己免疫との関連が注目されている.種々の研究により,ウイルス感染などに伴う腸内細菌叢バランスの変化や腸管透過性亢進の重要性が指摘されている.また,樹状細胞などの抗原提示細胞(APC)に存在するToll様受容体(TLR)やMyD88などのパターン認識受容体(PRR)の機能変化が,T細胞機能や腸管ホメオスタシスを変化させ,T1D発症に影響を及ぼすことが示唆されている.さらに,腸内細菌由来やエネルギー代謝関連の代謝産物の解析はT細胞の活性化状態の評価を可能にした.腸内細菌叢や免疫細胞内代謝の制御が宿主の免疫状態を変化させT1D発症の制御につながることが期待される.
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