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第1土曜特集 1型糖尿病――診療と研究の最前線
診療上の課題
緩徐進行1型糖尿病の管理
Management of slowly progressive type 1 diabetes mellitus
及川 洋一
1
Yoichi OIKAWA
1
1埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科
キーワード:
緩徐進行1型糖尿病
,
抗glutamic acid decarboxylase(GAD)抗体
,
Tokyo Study
Keyword:
緩徐進行1型糖尿病
,
抗glutamic acid decarboxylase(GAD)抗体
,
Tokyo Study
pp.638-641
発行日 2022年5月7日
Published Date 2022/5/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28106638
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緩徐進行1型糖尿病は,病初期は2型糖尿病類似の臨床像を呈するものの,やがてインスリン依存状態へと緩徐に進行する1型糖尿病である.診断のポイントは,糖尿病の発症(あるいは診断)時にケトーシスあるいはケトアシドーシスがなく,経過のどこかの時点で抗GAD抗体もしくはICAが陽性であるという点である.糖尿病の診断時には抗GAD抗体を測定し,緩徐進行1型糖尿病を見逃さないように注意したい.一方,インスリン依存状態への進展リスク(病勢)に関わる因子としては,抗GAD抗体価(RIA法≧10U/mL)やSU薬の使用などがあげられるが,抗GAD抗体ELISA法陽性例では,抗体価にかかわらず病勢が強い可能性があり注意を要する.治療の基本は,内因性インスリン分泌能の程度に応じた治療法を提供することである.保険診療上の制約があるものの,病初期は一部の経口血糖降下薬による血糖改善効果が期待される.ただし,スルホニル尿素(SU)薬の使用は避けなければならない.血糖の是正が困難な場合は,躊躇せずにインスリン療法を検討すべきである.
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