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特集 ここまでわかった細胞老化と腫瘍
細胞老化随伴分泌現象(SASP)のがん微小環境における役割
The role of senescence-associated secretory phenotype(SASP) in tumor microenvironment
大谷 直子
1
Naoko OHTANI
1
1大阪市立大学大学院医学研究科病態生理学
キーワード:
細胞老化
,
細胞老化随伴分泌現象
,
cGAS-STING経路
,
TLR
,
がん微小環境
,
腸肝軸
Keyword:
細胞老化
,
細胞老化随伴分泌現象
,
cGAS-STING経路
,
TLR
,
がん微小環境
,
腸肝軸
pp.154-162
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27702154
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細胞老化はDNA損傷によって誘導される不可逆的細胞増殖停止状態である.近年,細胞老化を生じた細胞から,炎症性サイトカインやプロテアーゼ,増殖因子など,さまざまな分泌タンパク質が産生される細胞老化随伴分泌現象(SASP)が生じることが明らかになった.SASPは培養細胞だけでなく生体においても生じており,正常個体における生理作用やさまざまな病態に関係することがわかってきている.SASP現象において非常に多くの種類の分泌因子が産生されるが,最近,重要なSASPの内因性誘導機構として,細胞老化により生じるDNA断片によるcGAS-STING経路の活性化が明らかになった.一方,生体においては,さまざまな外因性トリガーがさらにSASP誘導を促進する.本稿では上記に加え,筆者らが明らかにした肥満関連肝がんの微小環境の肝星細胞で生じているSASPのがん促進作用について概説する.さらに,最近注目されている細胞老化した細胞の除去法(senolysis)と,細胞老化を利用したがんの治療法(senotherapy)についても紹介する.
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