Japanese
English
特集 ここまでわかった細胞老化と腫瘍
細胞老化と肺がん発生
Cellular senescence and lung carcinogenesis
杉山 悠真
1
,
丸山 光生
1,2
Yuma SUGIYAMA
1
,
Mitsuo MARUYAMA
1,2
1国立研究開発法人国立長寿医療研究センター研究所
2名古屋大学大学院医学研究科老化基礎科学講座
キーワード:
加齢
,
肺がん
,
慢性炎症
,
細胞老化随伴分泌現象(SASP)
,
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
Keyword:
加齢
,
肺がん
,
慢性炎症
,
細胞老化随伴分泌現象(SASP)
,
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
pp.163-167
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27702163
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細胞老化は,ストレスや損傷を受けた細胞が不可逆的に分裂を止めることで遺伝的不安定性を回避する,がん化を防ぐ生体システムであると考えられていた.しかし,老化した細胞が積極的に炎症性メディエーターやマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)などを分泌する,細胞老化随伴分泌現象(SASP)という性質が認知されたことで,慢性炎症との関係が明らかとなってきた.炎症が発がんや腫瘍形成に対して促進的に作用することはすでに多くのがんで報告されており,実際に肺の炎症性疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)と肺がん発生のリスクは非常に強い相関が認められる.また,肺がんの発症頻度は年齢とともに加速することから,加齢に伴う何らかのファクターがその発生に寄与していることは自明である.本稿では,加齢とともに肺に蓄積する老化細胞と肺がん発生の関係について,主に炎症という側面から俯瞰的に考察する.
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